JIS第二水準漢字のススメ
H22/03/06
 code 5040 ~ 504F
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5040
5041
読み: ジン/ひろはか
解説: 深さ、高さ、長さの単位。両手を広げた長さを日本でも「ひとひろ」と呼んでいる。時代によって6尺~8尺と一定しない。一般には「尋」の字が使われるが、この字を用いてもよい。「仭」は「仞」の俗字。ここでもJISは無意味なことをしているとしか思えないのだが、きっと深い意味があるのだと信じることにしよう。
用例: 「一もあるような巨大なご神体。」


5042
読み: セン/かしら
解説: 「千」とで「千人の長」を表す字(単純!)。もしもこんな用途があれば是非使用してみたいものである。【仟佰[5051]( セ ン ハ ゚ ク)】は多数、manyの意。千の大字としても使用する。大字(だいじ)とは、金銭証書などで数字を改竄しにくいように、より複雑な漢字で数字を表すために用いられるものである。
用例: 「偽伍圓札とは珍しい・・・」
5043
読み: カイ
解説: 良い、大きい、使用人などの意がある。【价婦( カ イ フ)】はしもべの女の意。【价人( カ イ シ ゙ ン)】は徳のあるすぐれた人のこと。ちなみに中国では價(=価)の略字としても使用される。
用例: 「世の价人と呼ばれるように研鑽しなさい。」
5044
読み: コウ/たぐいなら
解説: 対等な相手、真っ直ぐに立つ、という意味を持つ。【伉配( コ ウ ハ イ)】【伉儷[5136]( コ ウ レ イ)】は共に夫婦、つれあいのこと。【伉行( コ ウ コ ウ)】はおごりたかぶった行為。【伉直( コ ウ チ ョ ク)】は心が強くてまっすぐなこと。「剛直」と同意。
用例: 「彼は実に伉直な男だ。」
5045
読み: イツ,テツ/のがれる,たのしむ
解説: 【佚女( イ ツ シ ゙ ョ)】はなぜか美人のこと。淫乱女の意もある。【佚遊( イ ツ ユ ウ)】は勝手気ままに楽しむこと、なまけること。【佚老( イ ツ ロ ウ)】は俗世をのがれた年寄りのこと。
 この字は「逸」とほぼ同意であることから、「逸」の代わりに使えると考えてよい。
用例: 「俗世をれて山奥に篭る。」
「大型連休をしむ。」
5046
読み: コ/あきなう,あたい
解説: 「売買」の意。【估価( コ カ)】は売値のこと。【估客( コ キ ャ ク)】はあきんど(商人)のこと。よく使うところでは【估券( コ ケ ン)】。もともと土地の証文のことだが、転じて「人の値うち」の意に使用される。(この「估券」の「估」は「沽[5D78]」を使用してもよく、こちらの方が一般的かもしれない。)
用例: 「この問題は男の估券に関わることだ!」
5047
読み: ブツ,ホツ,ヒツ/ほとけ
解説: 「仏」の旧字。「仏」は「佛」の異体字。サンスクリット語(梵語)のbuddha( フ ゙ ッ ト ゙ ゥ ハ)が「佛陀」と音訳されてから、この字を「ほとけ」の意にとる。しかし、なぜこの「佛」という字を「ほとけ」と訓読したのかは未だにわかっていない。私が某大学の国語学者の先生に聞いた話によると、飛鳥時代(6世紀)蘇我氏(大臣)が新羅から仏像を取り寄せて拝んでいたところ、その噂を聞いたライバル物部氏(大連)が、「ふん!そんなもんほっとけ!」と言ったことに由来するというのだが・・・本当?
用例: 説摩訶般若波羅蜜多心経」
5048
読み: コウ,ク/せむし
解説: そのもの、「せむし」のこと。もともとの意味としては、短く醜いさまを表す字である。「せむし」と訓読できる字はこの他にも「瘻[6171]」「傴[507D]」「僂[5124]」がある。
 ところで、この「せむし」という言葉は、その昔、「背虫」のために起こった病気と誤信されたことによるらしい。
用例: 「ノートルダム寺院の男。」
5049
読み: タ/わび
解説: 茶道でいう「わびさび」のわびであるが、一般には「侘[504E]」を用いることが多い。実は誤ってこの字に「わび」という訓を当てたらしい。その他にも「負う」とか「担う」とか「被る」とかの意がある。【佗負( タ フ)】は背に荷なうこと。【佗髪( タ ハ ツ)】は髪が乱れて顔にかかるさまのことをいう。
用例: 「このヘアスプレーをご使用になれば、風の強い日も佗髪してしまうことはありません。」
504A
読み: チョ/たたず
解説: これは知っている人がほとんどであろう。「待ち合わせ場所に佇む。」の「佇む」である。ほかに「待つ」とか「立つ」とかの意もある。3年程前、会社の女の子に本を見せられ、「これ何と読むと思いますか?」と尋ねられたことがあった。そこには「時に佇つ」と記されていた。彼女もさんざん悩んだあげくわからなかったらしく、それからも2人で数日悩んだ。私も彼女も「まつ」か「たつ」のかのどちらかだと踏んではいたのだが、その小説の内容からもよくわからなかった。一週間程して彼女が「やっぱり『たつ』でした。」と回答を捜し出してきた。本屋の新刊リストにあったという。長くなったが、小説家もこういったお遊びをしているのである。一週間、なんとなく楽しかった。
用例: 「停車場に少女がひとりんでいる。」
504B
読み: キツ
解説: 「すこやか」と訓読させてもよいと思う。字意としては「人」が「吉」で「正しい」とか「すこやか」と考えればよいだろう。【佶屈( キ ッ ク ツ)】は堅苦しいこと。【佶栗( キ ツ リ ツ)】は寒さなどがきびしいさまをいう。
用例: 「まあまあ、そんな佶屈なことはなしでいきましょうよ。」
504C
読み: シ,イ/おご
解説: まさに「おごり高ぶる」の意。【侈侈( シ シ)】は豊かで多いさま。【侈麗( シ レ イ)】は贅沢で華やかなこと。【侈放( シ ホ ウ)】はおごってわがままなこと。これはたまに耳にする【侈奢( シ シ ャ)】【侈泰( シ タ イ)】は「贅沢をする」とか「贅沢」の意。
用例: 「その皇帝は侈泰の限りを尽くした。」
侈侈とした米倉。」
504D
読み: シュ
解説: 「短い」とか「愚か者」とかの意。【侏儒( シ ュ シ ゙ ュ)】は「こびと」のこと。【侏張( シ ュ チ ョ ウ)】は「のさばる」とか「暴れまわる」の意。それと覚えておきたいのが【侏離( シ ュ リ)】。これは外国語が声だけ聞こえて、意味がさっぱり通じないことをいう。
用例: 「ったく、やってらんないぜよ。となりにインド人が越してきよぉー。挨拶に来たのはいいんだけど、さっぱり侏離でやんの。あったま痛くなってきちまってよぉー・・・」
504E
読み: タ/ほこる,わびる,わびしい
解説: 基本的には失意、失望の状態を表す字である。この字も第2水準にあって比較的使用頻度が高いといえよう。茶道の「わびさび」の「侘(わび)」だと言えばなじみも出てくるだろう。ただし、「ご無礼をお詫びします。」の「詫び」とは意味が異なるので要注意。【侘戯( ワ ヒ ゙ サ ゙ レ)】は思いわびてするたわいもない遊びのこと。【侘人( ワ ヒ ゙ ヒ ゙ ト)】は社会から落ちぶれた人のこと。
用例: 「夢の無い人生なんてしいもんだよ。」
504F
読み: チョウ/かる
解説: この「かるい」は「物が軽い」のではなく「人の行動が佻い」の「かるい」である。現在ではどちらも「軽」の字を使用することが多いようだが、「軽」はあくまでも物理的な「かるい」にしか使用されない字である。「あいつは軽い男だ!」では単なるガリガリ男のことである。「あいつは佻い男だ!」と書くべきであろう。
 【佻功( チ ョ ウ コ ウ)】はかるがるしくて口先だけ達者なこと。いるね、そんな奴。【佻薄( チ ョ ウ ハ ク)】はかるがるしいこと。要するに軽薄なこと。でもなるべく「軽薄」ではなく「佻薄」と書きたいもんだね。【佻脱( チ ョ ウ タ ゙ ツ)】はどこか抜けてることをいう。【軽佻( ケ イ チ ョ ウ)】はその字のごとく、とってもかるがるしいこと。これもよく使える字。
用例: 「あいつ、行動はすばやいけど、どこか佻脱してんな。」
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