H25/5/5
 
No.21 CRT CANVAS
作者:杉之原名人
対応機種:FM-7シリーズ
形式:F-BASIC+マシン語(アセンブラ)
 FM-7用の「お絵かきソフト」である。特徴はコマンドの豊富さと再生の高速性である。当時のグラフィックツールによくあるベクトル型で、少ないデータで画像を保存できる(ドロー型)。そのため、画像を再生するのに時間のかかるソフトが多かった中で、このソフトは再生部分がオールマシン語になっており、高速性が追求されている。また、アニメ調のセル画に特化されており、この辺りは割り切った仕様になっている。例えば、ペンの太さは1ドットの細線のみで、画像に対する効果などは一切無い。また、指定色を任意のタイルパターンに高速で塗り替える「クロマキーペイント」が充実していたりと、「いかに効率よくセル画をデータ化し、いかに高速に再生するか」がテーマになっている。当然、サブCPUにプログラムを転送して高速描画するようになっている。
 さらに、画像再生のデモンストレーションを念頭に置いているため、メモリが許す限り複数のデータを置くことができ、連続で再生することができた。このため、一時、市内のほとんどのショップのFM-7デモ機で走っていたとも言われている。初期バージョンはカセットテープ専用。新バージョンはディスクベースになっている。(株)無線パーツにて販売されていた市販ソフトでもある。結構売れた。
No.22 エイリアンX4(エックス・フォー)
作者:中島孝
対応機種:MZ-80シリーズ
形式:マシン語(アセンブラ)
 「平安京エイリアン」の立体版である。5階建てのビルの中で検非違使がエイリアンと戦う。これも中島神話で説明したので、そちらを参照していただきたい。まあ、ゲームが人を楽しませるものであるという基本を忘れるとどうなるか、それを証明してくれるソフトである。
No.23 高速ペイントルーチン
作者:阿閉雅宏
対応機種:MZ-80シリーズ
形式:マシン語(アセンブラ)
 MZ-80でペイント?!と驚かれるかもしれない。だが、紛れもなくMZ-80シリーズ用の高速PAINTルーチンである。MZ-80の画面は8x8ドットのキャラクタが40x25行のテキスト画面が1面しかない。これだけ聞くとPAINTとは無関係のようだが、実はこのキャラクタを利用した80x50ドットのセミグラフィックが実現可能なのである。つまり、8x8ドットの1文字の中に4つのドットを入れた、計16個の「セミグラフィック専用文字」が定義されているのだ。別名を「田んぼドットグラフィック」と呼び、MZユーザーの夢を繋いでいた。
 ここまで解説すればおわかりいただけると思うが、このPAINTルーチンはそのセミグラフィックを塗りつぶすものだ。阿閉氏独自の高速アルゴリズムにより、どのような複雑な図形の内部でも一瞬で塗りつぶしてしまう。当然のことながら、MZ-80はモノクロ画面なので、引数は座標一点のみである(HレジスタにX座標、LレジスタにY座標)。ちなみに唯一無二の欠点は「用途」である。
No.24 コンピュータ姓名判断
作者:杉之原名人
対応機種:MZ-80シリーズ
形式:BASIC(SP-6010)
 杉之原名人が大学の学園祭用に製作した、その名の通り「姓名判断ソフト」である。MZ-80シリーズ+フロッピーディスクドライブ+プリンタの構成で稼働する。プログラムはオールBASICで、ディスクBASICであるSP-6010上で動く。フリーメモリがほとんど残らない大作ソフトである。フロッピーディスクドライブとプリンタは浅田党長から借用して製作・実働している。
 プログラム自体は単純で、名前を構成する各漢字の画数を入力すると、プリンタに判断結果が印字されるというものである。が、特徴はコンピュータが勝手に名前に点数をつけて評価する点にある。姓名判断には吉数や凶数があるが、それらをもとに評価点をつけ、コンピュータが容赦なく感想(?)をぶつけてくるのである。
 「9テン スバラシイ! カオハ シラナイケド ナマエ ビジンデス!」
であるとか、
 「-5テン ヒドスギル! アナタ ナマエヲ カエタホウガ イインジャナイ?」
とか、大きなお世話をしてくる。しかし、これがウけて、大学祭ではブースに長蛇の列ができたという。
 判断内容は決して適当なものではなく、ちゃんとしたデータを元に入力されているので、十分に参考になるものであったことを付け加えておく。
No.25 CZ Voicing Program
作者:杉之原名人
対応機種:FM-7/77 + MPU-401
形式:F-BASIC + マシン語(アセンブラ)
 CASIO社製シンセサイザー「CZシリーズ(CZ-101/CZ-1000など)」用の音色作成ソフトである。プログラムはマシン語のMIDIデータ送受信部とBASICの音色エディタ部、およびマシン語のデータコンバータ部から成っている。
 音色エディタはF-BASICのフリーエリアを使い切っており、グラフィカルにCZシンセサイザーの音色を作成できる。CZ特有の8段階エンベロープもグラフ化して表示することができ、効率よく音色作成が可能となっている。
 作者はBASICプログラムの構造化を徹底し、GOTO文(およびTHEN 行番号)を一切使用せずに作り上げており、プログラム的にもこだわりを見せている。