零壱症候群特別講義(2)
テーブルマナーですって ?
ベトナム料理レストラン『ティエン・コム・ベトナム』店主 杉原 学

まえがき

 この5・6年の間に国内に西洋料理店が急増した中、貴方は何軒の店に入って食事をしましたか? 中でも専門店と呼べる店で食事したことがあるという人は多くないと思います。しかし、これから人とのつき合いが多くなる中(特に男女間の付き合いなど)、テーブルマナーが必要とされる場合が多くなってくることと思います。それに食事はマナーを知ってこそ楽しめるというものです。

 しかし、こういったものは文章を読んで覚えるよりも、実際に体験して覚えた方が確実に身につきます。(これは筆者自身もそうでしたし、この道の先輩たちもこう言っています。)

 内容的には、食事のときにあがらないために必要な予備知識をはじめ、ちょっとしたアドバイスなどが書いてあります(よく初めての人なんかで、緊張のため良く味わって食べれなかったという人がいますからね)。

 まぁ、とにかく興味のある人は目を通して見てください。


1.予約の取り方
ウエイトレスさん

 予約の電話は原則として来店する直前まで有効ですが、店によって当日予約は受け付けないところがありますから、できれば前日までに電話しておきましょう。次に電話応対の例をあげておきます。

 「黒門町の伝七と言いますが、×月○日の6時、4人なんですけど席あいてますか?」と伝え、席があいていたら「一人予算15000円でお願いできますか?」と告げます。すると応か否かいずれかの答えが返ってきます。次にコ-スの種類と内容を教えてくれますから、自分の好きな料理のあるコ-スを選んでください。それと好き嫌いがあったら、遠慮なく言っておきましょう。もし車で行くならば店の場所、駐車場の有無も聞いておいたほうが良いでしょうね。

2.服装

 背広にネクタイ。こだわる必要はありません。また、TシャツにGパンというのも軽薄すぎます。せめて衿のあるもので、見た目が清潔であれば結構です。

3.食事

 予約してある場合はよいとして、そうでない場合は店に入ってウエイタ-が来るまで待ちます。そして飛び込みで席が空いているかどうか相手に伝えます。空いていたら案内してもらい席に座ります。そのとき、女性は壁側に座ってもらいましょう。無理強いはいけませんが。

 それでは次に対応の一例をあげてみます。

 まずメニュ-をもらって軽く目を通します。次に「こういう店で食事するのは初めてなので説明してもらえますか?」と言います。すると予算を聞いてきますので自分の予算範囲を言うと、それに見合ったコ-ス内容を説明してくれますから、自分たちの好きなものを選んでコ-スを組みましょう。ここで気をつけてほしいのは、『初心者なんだから聞くことは恥ではなく、当然のことである』ということです。わからないことがあったらビシビシ聞いていきましょう。

 料理が運ばれて来るまでおしゃべりを楽しんでください。 楽しいおしゃべりと、おいしい料理。これが揃ってこそ満たされた食事ができ、帰る際に「楽しかった」、「おいしかった」という言葉が自然と出てくるのです。

4.ワイン

 別に必ず飲まなきゃいけない決まりはありません。ですが楽しく食事しようと思ったら飲んだほうがいいですね。ワインは食欲増進・気分転換・場を和やかにします。また、なんにしても、一口飲んだ後、口の中をさっぱりさせます。水にはこれがない(胃がどっしりする)それにアルカリ性で消化を助けるのに対し、水は胃液を薄めます。せめてグラスワイン(400~800円位)ぐらい飲んだ方がよいと思います。

 じゃあボトル(1500円以上)で注文するとき何を選んだらいいかとなると、プロに任せた方がいいですね。予算を言うと、料理と、それに見合ったワインを選び出してくれます。あなたの好きなワイン、赤と白いずれかを選べばよいのです。とにかく、はじめての人は言われるままにした方がいいですよ。なんと言っても相手はプロなんだし、お客さんに合った品をちゃんと用意してくれます。それに、そのワインについて質問すればワインの名の由来・飲み方・味わい方など、本では味わえない話が聞けて楽しめます。よく「うまいワインてどんなワインですか」と聞きますけど、実際あなたが飲んでみて『うまい』と感じたら、それがうまいワインです。人にうまいと薦められて飲んでもあなたがうまく感じなかったら、無理して飲む必要はありません。人間十人十色、味覚は異なります。だから人に合わせて料理に合わせるため、何千種類ものワインがあるのです。

5.まとめ

 いろいろを書いてきましたが、自分なりにこれが初心者にとってよい方法だと思っています。こちらから質問すれば本に載っていない事まで向こうは説明して教えてくれますが、逆に聞かなかったら細かいところまで教えてくれません。しつこいようですが、「知らなくて聞くことは恥ずかしいことではなく、あたりまえのことなんだ!」ということです。下手に読んだり聞いたりして専門用語なんかを使うと、思わぬところで店と料理との食い違いが起こったりします。たとえば、よく「おあいそ」という言葉を耳にしたり使ったりします。もともと店がお客さんにあいそづかすことを聞こえのいいように「おあいそ」というふうに言ったのですが、これを逆に使うと店に対して侮辱したことになります。もっとも貴方が気に入らなかった店なら堂々と使ってもいいですけどね。ここは素直に「勘定お願いします」と言いましょう。うちのお店にもたまに使うお客さんがいますけど、若い人が多いですね。こんなことをいちいち言ってたら、お客さんからうるさがれますが、この文章に目を通した人だけでも解ってくれたら幸いです。