H25/5/5
 第四回目は幅広い分野のソフトをアピールしてみました。ツール、ユーティリティ、ゲーム、イタズラ、実用と、多様性に富んでいるところがミソ。つまり、何でもアリなんです。
No.16 M.L.S.(Machine Language Simulator)
作者:山原水鶏
対応機種:MZ-80シリーズ
形式:マシン語(アセンブラ)
 山原水鶏(新明征和)氏によるオリジナル大作ツール。マシン語プログラムの開発および改造に威力を発揮するシステムで、3本のプログラムから構成されている。その3本とは、1.エディタ・アセンブラ、2.シミュレータ、3.ソースジェネレータである。それぞれ解説していこう。
 1.エディタ・アセンブラ・・・強力なエディタを備えた高速アセンブラである。独自のラベル検索アルゴリズムにより高速化が図られている。表記はザイログ形式であり、ユーザによるマクロ定義が可能。特徴として、マルチステートメントが可能、メモリ上に複数のテキストの配置が可能、オフセット機能によりテキスト上にオブジェクトをオーバーレイ可能、などが挙げられる。これだけでもかなり強力なツールであることが伺い知れるだろう。
 2.シミュレータ・・・言うなればトレーサーであり、デバッガでもある。モニタールーチンはシミュレートしないところなどはニクい仕様である。フラグの状態、レジスタ値の変遷などが一目でわかる仕組みになっている。オブジェクトレベルのシミュレートを行っているためソースは不要で、すべてのプログラムに対応する。
 3.ソースジェネレータ・・・つまりはディスアセンブラである。単に表示するだけでなく、プリントやアセンブラソースに落とすことも可能である。
 絵夢絶党刊「零壱症候群1(デヂタルシンドローム1)」に掲載。
No.17 DIRECT V-RAM SAVER/LOADER
作者:杉之原名人
対応機種:FM-7シリーズ
形式:マシン語(アセンブラ)
 FM-7のグラフィック画面を超高速にフロッピーディスクに書き出し/読み込みをするシステムである。「フォーマッタ」「セーバー」「ローダー」の3本のプログラムファイルから成る。高速に読み書きするため、専用のフロッピーディスクを作成する。新しいフロッピーを「フォーマッタ」でフォーマットすると、一瞬で専用のディスクが出来上がる。連続したトラックに直にデータを書き込むためである。1枚の2Dフロッピーに6枚までの画像が保存できる。
 次に保存したい画面を作成し、「セーバー」を起動する。専用のディスクはドライブ2に入れておく。十数秒で書き込みが終了する。高速処理のため、裏RAMを利用している。ディスクを間違えても、専用のディスク以外には書き込まないので大丈夫。再生するときは再生したいデータの番号を指定し、「ローダー」を起動すれば約7秒で画面が読み込まれ、表示される。ちなみに、専用ディスクには6トラック(48KB)×6面=36トラックがリザーブされ、残りの1クラスタを専用ローダーが占めるため、F-BASICから自由に使用できるのは7クラスタのみとなる。
 このソフトは作者の元に技○評論社から「何か良いソフトがあったら送って欲しい」という手紙が届いたため、参加賞に目がくらんだ作者が急遽製作したとのことである。後日談だが、このソフト、一応「採用」の通知をもらっていたのだが、結局掲載予定だった本の発刊が中止となり、幻のソフトとなってしまった。
No.18 驚異のブロック崩し
作者:坂田浩
対応機種:PC-9801Vシリーズ以降
形式:マシン語(アセンブラ)
 PC-8001→FM7→FM77と所有マシンを変えてきた作者がついにPC-9801に手を出した記念作品(?)である。基本的にアセンブラを使用する作者であるため、Z-80→MC6809→V30(8086)と、マシン語も変遷してきている。が、あっという間に8086のマシン語を習得してしまい、盲人である作者は音声合成システムを利用して、このオールマシン語のブロック崩しゲームを完成させてしまった。デバッグ中の様子を見たある党員は、ディスプレイの電源が入っていなかったことに驚愕したという。それがこのソフトの名称の元になっている。
 ゲーム内容はごく一般的なブロック崩しゲームなのだが、作者曰く「ゲームオーバーがない」ことが「驚異」のブロック崩しであると語っている。ちなみに作者は盲人であるため、自分で作ったこのソフトをプレイすることが不可能であるため、妻と子供たちがデバッグを担当し、口頭でバグ内容を伝えたという。
 このソフトは当時のニフティーサーブにアップロードされ、雑誌にも紹介されている。
No.19 H爆弾
作者:杉之原名人
対応機種:PC-9801Vシリーズ
形式:マシン語(アセンブラ)
 ニフティーサーブにアップされていたため、ご存知の方もいると思われるが、これも絵夢絶党員の作品である。
 常駐プログラムとなっており、MS-DOSのスタートアップにこっそり登録して使用(悪用?)するイタズラプログラムである。指定回数キー入力があると突然画面いっぱいにエッチなグラフィックが表示されるというものである。常駐ソフトであるため、極力プログラムサイズを小さくする必要があり、全画面サイズの画像データを独自アルゴリズムで圧縮している。ちなみにHなグラフィックはRyo氏が担当しており、その美しさも話題になった。Ryo氏は現在ファンタシー世界を描くイラストレーターとして活躍している(本名は敢えて伏せておく)。
No.20 プラネタリウム
作者:不破秀夫
対応機種:MZ-2500
形式:M25-BASIC
 MZ-2500のスクリーンを星空にしてしまうソフト。サイズも約42KBという大作である。よって、メインメモリを増設していないと動かない。
 見たい日時と場所(緯度経度)を入力すると計算を始め、それが終わると見たい星空の方角を入力する。最初に太陽以外の恒星をプロットし、次いで惑星、太陽、月、彗星の順にプロットしていく。すべての天体の表示が終わると天体が点滅し、観測地のデータが表示される。作者は子供と一緒に使ってもらい、星座の話などをしながら天体に興味を持ってもらうことを願っている。