H25/5/5
 連載2回目は大作揃い。また、先鋒の"Xfre Loader"は絵夢絶党がまだSMUC(スマック)と呼ばれていた頃の作品である。党員たちは日々、自己研鑽とオリジナルソフトウェアの開発に没頭していたのである。
No.6 Xfer Loader(トランスファー・ローダー)
作者:浅田党長
対応機種:MZ-80K/Cシリーズ/MZ-80B
形式:マシン語(アセンブラ)
 初期のコピープロテクトに対応したコピーツールである。非常にコンパクトなプログラムで、V-RAMにロードしたりロードアドレスを偽るタイプのコピープロテクトがかかったソフトを手軽にバックアップできる。また、MZ-80Bに対応したものも作成され、IPLから起動できるのが特徴であり、サーチ機能を使って高速にスキップが行える。
 党長自らが製作したこのソフトは、絵夢絶党として(およびその前身のサークルを含め)はじめて市販されたソフトである。(株)無線パーツにて販売されていた。

追記
 「MZ-80B用はタイプAとタイプBがあり、共に自分自身はコピーできなくしてあった。販売用のタイプAをタイプBでコピーするのはともかく非売品のタイプBをコピーするのにタイプAが必要というのが実に絵夢絶党らしいと思う。」(本人談)
No.7 通り魔少年ゲーム
作者:杉之原名人
移植者:坂田浩/高井真由美/川口達哉/阿閉雅宏
対応機種:MZ-80シリーズ/PC-8001/8801シリーズ/X1シリーズ/MZ-2500/FM7/77シリーズ
形式:BASIC(SP-5030)/N-BASIC/M25-BASIC/F-BASIC+マシン語(アセンブラ)
 MZ-80版(オリジナル)は杉之原名人が製作したスタートレック風のシミュレーションゲームである。48KBのメモリをフルに使い切るほどのBASIC大作(一部マシン語)である。
 ゲームの目的はマップ上に現れる女の子たちを通り魔少年になって次々に襲っていくというもの。タイムオーバーになるか巡回中の婦人警官に逮捕されるとゲームオーバーとなる。襲うときの武器は「吹き矢」「素手」「カミソリ」「金属バット」の4種類で、それぞれ攻撃範囲とダメージポイントが異なっている。女の子に一定のダメージを与える(お嫁に行けなくする)とポイントになる。このときのポイントは女の子のレベルに大きく左右されるため、効率よく可愛くスタイルの良い女の子を選んで攻撃する必要がある。そのため「プロフィール」というコマンドがあり、一定範囲に女の子が入ると(目視できる距離)、使用できるようになる。プロフィールコマンドでは、年齢・身長・体重・スリーサイズ・性格・趣味などが表示され、これらの情報からプロポーション等を推測する。また、顔の可愛さは攻撃が成功したときに判明し、一番上の「麗」から最下位の「夕日鬼瓦」まで10段階でランク付けされる。もちろん、可愛いほど高得点である。
 このゲームは得点の高さを競うものではなく、どれだけ効率よく可愛くスタイルのよい女の子を襲ったかを競う。このため、プロフィールコマンドを駆使し、良い子がいないと判断すればPASSコマンドを使用して女の子をチェンジすることができる。また、可愛い子がマップ上に現れるとチャイムが鳴るようになっており、プレイヤーの期待をあおる。
 プレイ中にはいろいろなイベントも発生し、プレイヤーを飽きさせない工夫が仕込まれている。単なるふざけたゲームではなく、頭を使ってじっくり遊べるゲームに仕上がっている。このため、党内でいろいろな機種に移植&リメイクされている。作者はBASICを初めて半年という状態で完成させているため、プログラム的に特筆する部分は無いが、一部マシン語も使用されており、作者の熱意(?)が感じられる。
 このソフトもZeroSoftブランドで(株)無線パーツにて市販された。後に近隣の高校で話題になっていたという。絵夢絶党刊「零壱症候群1(デヂタルシンドローム1)」に掲載。

 PC版は坂田氏によってN-BASICに移植されたものである。しかし、移植者が移植者だけに(?)、素直な移植ににはなっていない。攻撃に使用する武器も「吹き矢」が「投石」に、「金属バット」が「ロープ&タオル」に変更された。また、新たに「経験値」「星座」「戦利品」や「ワープ」などのパラメータや移動手段が追加されている。発生するイベントもさらに増えている。こちらもほとんどフルメモリで動作する。
 PC版にはさらに改良を加えた新バージョンがあり、こちらは坂田氏と高井女史のコンビで製作されている。お嫁に行けなくした女の子の評価を自分好みに設定できる機能や、マップの拡張、出現する女の子の増加、武器の変更、プレイ画面の改良などが加えられている。

 X1/X1turbo版は川口達哉氏が、MZ-2500版は阿閉雅宏氏がそれぞれPC-8001/8801版の新バージョンを移植したものである。

 FM版も坂田氏+高井女史がリメイクしたもので、ほとんどアセンブラで組まれている巨大なプログラムである。メイン画面がワイヤーフレームで3D化されており、立体迷路の町の中を進んでいく形式に変更されている。ここまで来ると、もう通り魔少年ゲームじゃなくても良いような気もするのだが・・・・
 プログラムはスタートアップ部分のみF-BASICで記述されており、ゲーム本体はオールマシン語である。とてもほとんど視力の無い人間が作ったものとは思えない。

No.8 マルチファイルコンバータ
作者:不破秀夫
対応機種:MZ-2500
形式:S25-BASIC(一部マシン語)
 当時大学生だった不破氏が製作した大作ツールである。MZ-2500を使用して各種BASICファイルの相互変換を可能にする。当時の一般的なファイルコンバータが片方向のみであったのに対し、このマルチファイルコンバータではそれぞれ双方向のコンバートが可能となっているが大きな特徴である。扱えるBASICファイルは、M25-BASIC・Hu-BASIC・X1-BASIC・N88-BASIC・N86-BASIC・F-BASICの計6種類。当時のメジャーマシン用BASICのほとんどをカバーしている。MZ-2500に5インチフロッピードライブを接続しておけば、2Dおよび2DDの密度のフロッピーに記録されたBASICファイルを自由に相互変換できるようになる。つまり、MZ-2500でPC-9801のN86-BASICで記述されたプログラムファイルをFM-7のF-BASICが読み込めるファイルにコンバートが可能なのである(ただし、ファイルはアスキー形式でSAVEしておく必要がある)。
 このプログラムはサイズが42KBもあり、増設RAMが必須である。絵夢絶党刊「零壱症候群1(デヂタルシンドローム1)」に掲載。
No.9 MIGHTY-8(多機能成績処理ソフト)
作者:坂田浩
対応機種:FM-7/77シリーズ+漢字ROM+2フロッピーディスクドライブ+プリンタ
形式:F-BASIC+マシン語
 坂田氏が中学校教員である妻のために作り上げた成績処理システムプログラムである。テクノソフトのT-DOSベースで動くシステムとなっている。MIGHTY-8は6本のBASICプログラムと3本のマシン語プログラムから成っており、パソコンの超初心者でも迷うこと無く使用できるように至る所に工夫が凝らされている。スタートアッププログラムを走らせると、右のような初期画面が表示される。
 このソフトは中学校の成績処理に特化されており、主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)およびプラス3教科(音楽・保健体育・技術家庭)の2モードを持っている。お察しの通り、中間テストと期末テストを意識してのものである。全教科の得点・偏差値・順位・段階(10段階評価)などが集計される。最高15クラスまで登録することができる。
MIGHTY-8 成績処理
1.名簿編集
2.成績編集
3.計算
4.表示印刷
5.名簿移植
 MIGHTY-8は二年の歳月と100本以上の試作プログラムの末に完成しただけあって、非常に完成度が高いソフトと言える。上手くカラーを使い、見やすくわかりやすい画面も好感が持てる。盲人のアマチュアプログラマが作ったとは到底思えない。絵夢絶党刊「零壱症候群1(デヂタルシンドローム1)」に掲載。
No.10 3人オセロ「トライアングル」
作者:金川彰人
対応機種:MZ-2500
形式:M25-BASIC
 「Mr.チャリ」こと、金川氏が製作した3人でプレイするオセロゲームである。白と黒の2色ではなく、赤と青と緑色を使う。基本的なルールは一般的なオセロとほぼ同じだが、盤面が三角形で、隅にすでに石が一個置かれていたり、4方向ではなく6方向に隣り合う石があったりと、見た目はかなり異なる。また、ごく簡単な思考ルーチンも入っており、コンピュータ対戦も一応可能である。絵夢絶党刊「零壱複合心理(デヂタルコンプレックス)」に掲載。