もう一人の絵夢絶党創始者である佐野氏よりMZ-80Kを譲り受けることになる。故障部分を修理に出し、完全にノーマルにしてから改造にとりかかった。私にとっては2台目のMZ-80Kなので思い切った構成がとれる。たとえ修理不能となってもマシンに触れない寂しさを味わわずに済むからだ。
まずはキャラ・ジェネROMからいく。2708×2を手持ちの2732にする。2716で容量は足りるのだが手持ちのものをそのまま使うことにした。2個が1個になったのだから当然空きができる。そこにモニタROMを持ってこようと思ったわけである。これはかなりきつい。利用できるのは電源ラインだけなのだ。今までパターン・カットを避けていた人間の行ないとは思えない。実は今回の改造で行なったパターン・カットは80~100箇所にも及ぶのだ。よくこんなものが動いているものだ。
モニタは無事に動いた。基板上のソケットは6-2で4個余った。いよいよこれからが本番だ。D-RAMの配線を変更する。データ・バスが空けたROMを通過しているためだ。バッファの世話になったバスでは自由にならない。改めて引っ張るより他になさそうだ。D-RAMの動作確認を済ませRAMの増設にかかる。4個同時ではトラブルが起きた場合回避する自信がないので1個ずつ載せていく……。作業は順調に進む。しかしこれだけの改造でトラブルが起きないはずはない。それは4個目のRAMを載せたときに起こった。誤配線はない。断線も短絡もない。不思議だ。なぜ動かないのだ。だが、今回は運が良かった。全く思わぬことから原因がわかったのだ。電源を入れたままの基板をうっかり落としてしまったのだ。その時CRTにキャラクタが表示され、さらには高速で移動したのだ。最初は接触不良かと思ったのだが、振動を与え続けているうちに動作が安定したのである。こうなれば考えられることはこれしかない。ハンダくずによる短絡である。実際、いやというほどに振動を与えた後は何事もなかったかのごとく動いているのだ。
ところでRAMを61KBにするためにはどこかでバンクを使うことになるのだが、ここは大方の予想を裏切らず、モニタROMの裏に位置している。その気になればCP/Mを使うこともできるのである。
いよいよ最後のステップである。秋葉原で購入したキーボードを接続するのだ。8255のビットが余っているので、これをデコードして使うことにする。回路は単純なのだがICを載せるスペースが必要になる。幸いなことにMZ-80Kには不必要な回路が付いている。D-RAMをフルに実装した途端に無意味になるICなどがあるのだ。そうはいっても撤去して終わりのはずはない。とぎれた回路をジャンパする。CS1とCS2がなくなると、なかなかすっきりして見える。見とれていても作業は終わらない。フラット・ケーブルを接続して終わりである。
だが、甘かった。設計段階のバグがあったのだ。増設したキーボードをスキャンしたときに本体側のキーにもローが出てしまうのだ。今度こそ最後のパターン・カットである。50箇所を越える辺りまでは数えていたのだが控えていたわけではないのでいくつかわからない。とにかく予定は全てこなした。終了である。
61KBマシンは仕上がった。ここでメイン・コンピュータとサブ・コンピュータの交代である。
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61KB拡張時のメインボード
一見すると何の変哲も無いのだが・・・・・
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61KB拡張時のメインボードの裏配線
よくこんなので動いてるね!
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