MZ-80K/Cは任意周波数のサウンドを発声できました。ただし単音で音色は固定。「音楽を奏でる」と言うより「音が出る」程度のものでした。そこに登場してきたのがGI社のPSGチップ「AY-3-8910」です。まあ、サウンドジェネレータとは言っても波形は矩形波と鋸波と三角波でしたが。3和音でノイズも発声でき、音量のコントロールもできたので、音色にさえこだわらなければ「音楽演奏」らしきものができるチップでした。
このチップの存在を知ったときは衝撃でした。簡単にCPUに接続でき、自動演奏が可能になるわけですから。このチップは当時すでに\3,500程度で入手できましたので、思い切って2個購入しました。これで私のMZ-80Cで6和音の演奏ができるようになるのです。ワクワクものでした。が、このチップの詳細情報がわかりません。LSIチップがあっても、これでは何もできません。いろいろ調べて、通販で英文のマニュアルを手に入れました。たかだか3mm程の厚さのマニュアルが\3,000もしたのには参りましたが・・・。あとはこれを必死で和訳してボードを設計し、制御ソフトを作るだけです。
このマニュアルには音階を決定するための「分周比」の一覧が載っていたのですが、クロック周波数が3.58MHzの場合のみで、水晶振動子が4MHzのMZ-80K/Cの場合にはすべて計算し直さなければなりませんでした。8進数での再計算はぞっとするほど手間のかかるものでした。私は迷わず3.58Mzのクリスタル(=水晶振動子)を\200で購入し、ボードに載せました。このころ、私と全く同じ事をしていた前川氏は根性で再計算したそうです(-人-)。
このボードは一発で思い通りに動いてくれました。演奏データも何曲か打ち込んで6和音を堪能していました。このころ、おとなり石川県は金沢市でパソコンフェアが開催されることになり、出展物を考えていた(株)無線パーツの社長さんが私のマシンに目をお付けになりました。結果、改造例ということで、PCGボードとPSGボードを装着した状態で私の愛機はフェアでデモ機として展示されることになったのです。ちなみに私はそのブースの担当者ということでアルバイトをすることにもなりました。来場者の中には私のMZ-80Cを見て、
「普通ここまでやらねえよな」
とか
「酷いな・・・」
とぽつりと言う人など。((゜◇゜)ガーン)
まあ、一部、基板三枚重ね、みたいになっていたのでしょうがないのですが。
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