3/16(水)
昨夜雪が降ったのでゲレンデのコンディションはまあまあ。たまに昨日のアイスバーンが顔を出している。空もきれいに晴れていて、気分は最高!しかし、我が7班の行手には地獄が待ちうけていたのであった。
ブナ平で少し滑って、私たちは先生の言われるままにリフトに乗った。そして問題の寺子屋スキー場に着いた。
リフトから見ると斜面は見えないのだが、ふちの方を人々が並んで横向きに降りていっている。
「何あれ。」
と不思議に思ったが、その疑問はリフトを降りたときにわかった。アイスバーンなのだ、つるつるぴかぴかの。しかも傾斜が急である………。
「せ、せんせー、こんなとこ滑るんですか?」(ほとんど悲鳴)
先生は、これは大失敗だったというような口調で、
「ありゃー、計算違いだったのう………。」
そして氷との戦いが始まった。リフトから見えた、人が鈴なりになっているのとは別の斜面を降りて行った。最初は端の方を横滑りで降りて行ったのだが、途中から斜面を蛇行して滑り始めた。と同時に転ぶわ転ぶ。いったんお尻をついたら最後いくら「止まれー!!!」と叫んでも、「止めてえー!!!」とお願いしても、非情な氷と自分と同じように転んでいる人が相手では全く無駄なのであった。
その結果は、端っこの柵を壊す人、ずーっと下の方まで滑り落ちていってしまう人、やっと止まって安心したところで上からきた人にぶつかられてまた落ちていった人………などなど、たいへん悲惨であった。
「もうやーわ!」と怒ったり、「ブナ平帰りたーい。」「うちらちゃんと生きて帰れるがけ………。」と半泣きになったりしながらみんな滑っていた。
私はというと、1/4くらいまではなんとか滑ったのだがバランスをくずして転んでしまった。思わず氷にしがみついたがそんなことで止まるはずもなく、ずるずると滑り落ちていったのであった。斜面には班の人が座りこんでいる(立てないから)のでぶつかったらどうしようと思ったけど、なんとかよけて行けたのでほっとした。ぶつかる前に止まればいいじゃないかと言われるかもしれないが、止まれないものは仕方がない。
だいぶん滑り落ちたところに先生がおられて、
「足、足伸ばせ?」
と叫んでおられる。そうか、と思いおもいっきり足を伸ばしたら、止まった。ちょうど窪みに新雪がたまっているところだった。よかった。
その後は慎重に滑っていき、班の人が待っているところへ行った。そこには7班15人中の5・6人しかいなかった。後の人はまだ斜面にしがみついているようだった。
ところが話によると、Aさんが転んだまま横の別のコースに滑り落ちていったという。
「本当け?」
と言っているうちに、今度はYさんが同じ所に落ちていった。それも助けてくれようとした2班の2人も道連れに(2班の人たちは、私達が転んでいるのを尻目に上手に滑っていって集合していたのであった)。私達はただ、
「あーーーーーーーーっ!」
と叫びながら見ていることしかできなかった。
「ねえ、私らどうなんがかねえ………。」
みんなでため息をついた。
しばらくすると同行の看護婦さんがおりてこられたのでAさんとYさんの事を言うと、助けに行かれた。先生もおりてこられて助けに行かれた。その間私達はひとかたまりになって待っていたわけだが、もう一つの斜面から滑ってきた人が止まれないで突っ込んで来たり、スキー板だけが滑っていったり、木にぶつかる人がいたりとめちゃくちゃだった。
4人が帰ってきてまた滑り出したのだが、先生はしゅんとしておられた。
林間コースを通ってブナ平に着くと先生は、
「いやぁ、すまんかったのう。」
とおっしゃったのでNさんが慰めるつもりで、
「なーん先生、スキーばっかじゃなくスケートまでさせてもらったちゃ。」
と言ったらよけいにしょげられてしまった。
しかしまあ、生きて帰って来れて本当によかった。お昼ご飯を食べる私達の顔は、どの班よりも疲れていたけれど。
午後は午前中に懲りたのか、ブナ平でおとなしく滑っていたのであった。
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