H23/6/18
ゲートICにはいろいろな種類がありますが、もっとこんなのがあったら便利、こんなのがあったらこわい、というものを集めてみました。もちろん実在はしませんのでご安心(?)ください。1987年版と銘打ってありますのは、まさにその当時に考案したものだからです。かなりマニアックですが、わかる方には楽しんでもらえると思います。
NANDA
【何だ?回路】
左図のような入力1、出力1、サブ出力1の回路。動作としては、入力に変化があるとただ単に聞き返す働きを持つ。入力の変化とともにサブ出力がHレベルになり、一定時間経っても入力が変わらないことを確認したのちにサブ出力をLレベルに戻し、ここではじめて出力に変化が現れる。確認待ち時間によっていくつかタイプがある。意外と使い道のあるゲートである。
使用回路例→
福山XOR
【ふくやま排他論理和回路】
入力が共に同値であれば出力=入力となる。しかし、入力の値が相異なったとき、サージ電流を出力して確実に次段のゲートを破壊する。(月刊I/O 1980年11月号S.O.Sバチスカーフ参照)
使用回路例→
CONF.INVERTER
【入出力無安定反転回路】
その名が示す通り常時入力と出力が不定な回路。2本の入出力のうち、どちらが入力でどちらが出力か常に不定なのである。高速で発振していると考えてもよい。出力はトーテムポールタイプになっているので、入力と出力を間違えると確実に壊れる。
使用回路例→
MARGIN OR
【マージン論理和回路】
通常のゲートと異なり、上下のノイズ・マージンでのみ動作し、それ以外だと誤動作する。他に各種ゲートあり。
使用回路例→
PHANTOM BUFFER
【通り魔非反転回路】
通常は単なるバッファとして働くが、自分の気に入ったパルスが乗るとノイズを乗せたり、遅延させたり、ときに反転させたりしていろいろとちょっかいを出す。誤動作させたいときにはもってこいの回路。しかし気まぐれなので注意。絵夢絶党の入手した情報によると、なんでも
DAND回路
(コラム参照)の姉妹品ということで発表されたが、実際にはたちの悪いDAND回路をそのまま名前を変えて出しただけらしい。
使用回路例→
OUTPUT HOIHOI
【出力ホイホイ】
入口あって出口なし。ズバリ、ごきぶりホイホイのゲート版。このように入力が多数あっても出力がありません。機能的には通常のAND回路の出力を省略したものだと思って差し支えありません。つまり回路設計時に、余ったゲートの入力はプルアップやプルダウンしておけても、出力はオープンにしておくしか手がなく、精神衛生上あまり好ましくなかったことと思います。このようなときにこのゲートを使用すれば、未使用の端子は0にできます。
使用回路例→
OP NAND
【オペレーショナル論理積回路】
通常の使用法であればなんの変哲もないNAND回路としてしか働かないが、入力と出力間にフィードバック抵抗をつけてやるとゲイン(利得)を得ることができるようになる。反転増幅回路をはじめ、非反転増幅器やボルテージフォロワも可能である。ちなみに抵抗をコンデンサーに変えれば積分器としても使える。使い方次第ではかなり便利なゲート。
使用回路例→
POWER AND
【大電流型論理和回路】
LSタイプTTLゲートでファン・アウト2.0×10
5
以上という値を絞り出す。当然ダイレクトで大型のステッピングモーターが駆動できる。出力は2本持っており、オープンコレクタとトーテムポールを選択できる。各種ゲート有り。またチップには放熱の都合上、巨大なフィンが付いている。
使用回路例→
コラム
DAND
【ダンド回路】
月刊I/O誌(工学社)に発表されたゲート回路の一種。ご覧のように入力・出力共に1本づつである。機能的には”0”と”1”の乱数発生回路であり、過去1億回分を参照した自己補正機能を有する。